ぷに (萌え属性)

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ぷにとは、顔や身体が丸っこくぷにぷにした幼児体型少女少年のキャラクターを指す、同人業界で使われる言葉。

概要[編集]

「ぷに」は「ぷにぷに」という触感を示す既存の擬態語擬音語オノマトペ)を語源として定義された造語・隠語、ないしは符丁である。また、頬を触るという意味としても使われる。

単に「ぷに」または「ぷにキャラ」と称するものは、頭身が低く、頬の辺りがぽっちゃりとした印象の少女または少年のキャラクターを指す[1]。この場合は本来の設定より頭身を低くアレンジしたちびキャラなど、設定上の年齢は高めであっても作中で極端な幼児体型にデフォルメされているようなキャラクターも含まれる[2]。場合によっては小動物のキャラクターを含むとされる場合もある[3]

派生する概念として「ろりぷに」という合成語もある[要出典]。ろりぷにの「ロリ」は、そのまま「ロリコンロリータ・コンプレックス)」からきており、特にぷにぷにとした幼い少女のキャラクターを意味している[要出典]。かわいらしく幼い外見の少女キャラクターを対象とする意味では「ロリ」と「ぷに」は類似した概念であるが、少女に対する愛欲を描いたウラジーミル・ナボコフの小説『ロリータ』を語源とする「ロリ」が性的なニュアンスを含むのに対し、「ぷに」にはそうしたニュアンスが含まれないと解説される場合もある[3]。また、「ロリ」が成長過程の少女の精神性や儚さにも魅力を求めるのに対し、「ぷに」は頬の触感などに魅力を求めるフィジカルな志向であり、似て非なるものであるという主張もある[4]

ぷにの起源[編集]

「ぷに」的な嗜好は「ぷに」「ぷにぷに」といった言葉が誕生する以前から潜在的に存在していたとも言われる[1]。後の「ぷに」的なキャラクターに影響を与えた特筆すべきエポックとしては、1982年のテレビアニメ『魔法のプリンセス ミンキーモモ』のヒロインであるミンキーモモ(空モモ)など、芦田豊雄がキャラクターデザインを手がけた作品や、芦田が立ち上げたスタジオ・ライブが関わる一連の作品を挙げる意見もあるが[5]、起源となると定かではない[1]。なお、『ミンキーモモ』の脚本や構成に携わった首藤剛志は、同作が「ロリコン向け」と看做されることに対しては否定的な見解を示していた[6]

幼児体型の少女や、ある特定の傾向をもつ画風によって描かれた少女像を指す隠語としての「ぷに」「ぷにぷに」は、インターネットのCGサイトなどを通じて比較的短期間に広まったものであると言われている[1]。「ぷに」という語が広まると、「ぷに」的なキャラクターを愛好する「ぷに萌え」と呼ばれる人々によって、同人業界では大きな派閥が形成された[1]

ぷにの享受[編集]

1999年からは、対象をぷに系キャラに限定した同人誌即売会ぷにケット」が、東京で年に2回開催されている。

2004年には、ぷに系を専門的に扱った萌え4コマ雑誌『COMICぎゅっと!』が平和出版により創刊されたが、僅か第3号で休刊となり、翌年の2005年には出版社も倒産した。ただし同誌の編集部の意向で「ぷに萌え」のコンセプトでキャラクターが創られ[7] 連載が開始されたきゆづきさとこの漫画『GA 芸術科アートデザインクラス』は、その後も他社の雑誌に場を移して連載が続けられ、2009年にはテレビアニメ化も行われた。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e 『空想美少女大百科』、110頁。
  2. ^ 『空想美少女大百科』、110-111,112,115頁。
  3. ^ a b 窪田光純「ぷに」『同人用語辞典秀和システム、2004年8月17日(原著1999年3月2日)、249頁。ISBN 4-7980-0859-1http://www.paradisearmy.com/doujin/pasok10.htm#006P2010年8月3日閲覧 
  4. ^ 『空想美少女大百科』、155頁。
  5. ^ 『空想美少女大百科』、110-111頁。
  6. ^ 首藤剛志 (2006年6月21日). “第54回 『ミンキーモモ』はロリコン向けか?”. WEBアニメスタイル シナリオえーだば創作術 だれでもできる脚本家. スタジオ雄. 2010年8月3日閲覧。
  7. ^ きゆづきさとこ (wa). GA 芸術科アートデザインクラス, vol. 1, p. p.25 (2006年10月12日). 芳文社, ISBN 4-8322-7593-3

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]